ぼんやり参謀

好きな事について書いたり、薬にも毒にもならないことを考えたりします。

式典を開こう

友人が引っ越したという。十年来の友人だ。

であれば、盛大に祝わなければなるまい。

盛大に祝うといえば、式典だ。

 

 

 

式典とは竣工式や開通式、パーティーなどに登場する記念行事のことである。良くあるものとしてはテープカットやくす玉、酒樽を木槌で割る鏡開きが挙げられるだろう。いずれもおめでたい席で行うだけあって参加者はとても楽しそうであり、自分も一度はやってみたいと常々思っていた。そこに友人の引っ越し。千載一遇のチャンスである。

 

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テープカットなんて全人類の9割はやってみたいと思っているに違いない

 

適当に調べてみたところ、「式典の手法一覧」なるページを発見した。主な式典とともに必要な物まで載っている。ありがたい。インターネットとはかのように有意義な情報を発信するべきものだ。ああでもないこうでもないと屁理屈こねたり何の役にも立たない文章を連ねるものではない。もちろんこの文章は後者である。

式典の手法一覧 | 名古屋ショーケース

 

吟味の末、今回は引っ越し祝いとしていくつかの式典を選んで執り行なうこととした。本当はあらゆる式典を行い友人の引っ越しを完膚なきまでに祝い尽くしたいところであるが、予算の都合というものもある。許してくれ、友人。

 

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石油王に生まれ変わったら全部の式典をやろうな。約束だぞ

 

必要な物も大体は事前にホームセンターで揃えることができた。さあ、最高の引っ越し祝いをやっていくぞ。

 

 

 

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こういうことである

 

向かって右が私、向かって左が家主である友人だ。家主には事前に引っ越し祝いをするとだけ伝えておいたが、当日スーツで現れいそいそと準備し出した私を見るや全てを察し、白シャツに着替え用意したバラを差してくれた。出来た友人である。今君は紛う事なく市の職員さんだ。

 

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式は非常に家庭的な現場で執り行われた

 

式典の開催にあたってはもう1人、同じく十年来の友人を呼んでいた。彼もまた私の姿に全てを察しYouTubeでテープカットの司会進行、台詞回しを確認し始めた。出来た友人である。この先ずっとこんな事を続けていきたい。告知なしで。

 

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式前に事前挨拶を行うさま。彼もシャツに着替えてくれた

 

段取りも揃ったところで、テープカットの始まりである。

 

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「本日は天候にも恵まれ……」司会の話が長い

 

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「それでは、どうぞ!」

 

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切った!

 

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ありがとうございます

 

切った。夢にまで見たテープカットである。家主の新たな門出を祝ってやまない。やまないのだ。

 

本来ならばテープカットの制作過程などについても言及したいところだが、写真をすっかり撮り忘れてしまったので割愛したい。3人が3人とも初めてのテープカットに浮かれすぎてしまったのだ。司会の友人にいたっては「台詞を噛んだ」などの理由で何度もやり直しを要求していた。夢中だったのだ。

 

唯一TIPSとしてあげるならば、テープの飾りとなるリボン部分は、切る人が片手で持ちながら進行するとよいという事だ。自重でリボンが下を向くのを避けられるほか、カットの際にリボンが下に落ちないという利点もある。テープカットをご自宅で行う方は是非参考にしてほしい。

 

もちろん式典はこれだけでは終わらない。次は鏡開きだ。

 

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こういうことである

 

鏡開きと言うと普通はもっと大きい酒樽で執り行われるものだが、生憎予算がなかったためミニサイズの樽で行うこととした。探せばあるものである。中にお酒は入っておらず、蓋もマグネット式で何回でも割れるようになっているのでご家庭用にぴったりだ。本当に探せばあるものである。

 

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では早速。1,2,3…

 

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ヨイショ〜!

 

振り下ろすとパコン!と小気味のいい音がしてフタが3つに割れた。おっ、これは気分がいいぞ。

 

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早速家主も挑戦

 

いいね、これはいい、と言いながら木槌を回して樽を叩き合う3人。この世で最も平和な休日の過ごし方である。

 

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ついつい自分でもやりたくなる小気味良さ

 

いいぞ、だいぶめでたくなってきた。最後にもう一つやっていこう。

 

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鍬入れである

 

鍬入れとは建築・土木工事を行う際に地鎮祭の一環として行われる行事である。今回の家主の引っ越し先は普通のマンションであり、そもそも既に建っていたものなのでタイミングや用途としては明らかに間違いだ。しかし、家主の新たな生活の「立ち上がり」を祈るという事で行うこととした。本当は私がやりたかっただけなのだが、このような理由付けを今書きながら思いついてしまったのでそういう事にしていきたい。

 

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ヨイ・ヨイ・ヨイショ〜の掛け声で鍬を三度振る

 

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刃を出すと怖かったので鍬は新聞紙に包んだまま使用した

 

式典は以上である。家主の新居での新しい生活を少しでも祝うことができたならば幸いだ。少なくとも私は楽しかった。本当に楽しかった。やみつきと言っても過言ではない。他に身の回りに引っ越した人がいれば私に声をかけてほしい。ミニ樽を抱えて向かうので。

 

 

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ひとしきり終わった後はVRで遊ぶなどした