この世で一番美味いアイスは何か。もちろんICEBOXである。
ここ数年、ICEBOXに氷結を入れるのが世間では流行っていた。ICEBOXはカップ状の容器に砕かれた味付き氷が入っている氷菓子であるため、飲み物を注ぐのに相性が抜群なのだ。グンバツと言ってもいい。しかも注ぐと氷結がただ冷えるだけでなく、氷に含まれるグレープフルーツ味が染み出しまるでカクテルのような味わいになるという。それがもうグンバツらしい。
私は長いことICEBOX愛好者として黄色い氷を貪ってきた。青春の全ページにICEBOXがあったと言っても過言ではない。そんな私はICEBOXに酒を注ぐ行為が流行り始めた当時、その行為について唾棄すべきものであると訴えていた。 ICEBOXはあの氷単体で完成なのだと、氷だけをガリガリ貪るのが至上の喜びなのだと、どうせあんなものすぐに廃れるのだと説いていた。
私は、ICEBOX原理主義者だったのだ。
しかし、しかしである。すぐに廃れると思っていたICEBOXに酒を注ぐ行為は一向に陰りを見せず、なんなら夏の風物詩にまでランクインする勢いであった。そのため、もしかして本当に美味しいのではないかという疑念が頭をよぎったのだ。そして昨年の夏、震える手でテイスティングを行なった。
グンバツだったのだ。
それから1年、ICEBOXは帰ってきた*1。すっかりICEBOX酒グンバツ派閥と化した私は最もICEBOXに合う酒を決めるべく調査を始めることにした。
前置きが長くなって申し訳ない。
これは私の調査と挑戦の記録である。
さて、調査にあたり独断と偏見で対象となる酒をリストアップした。それがこちらである。
リストアップに際しては流行の発信地となった氷結の層を厚くしつつ、なるべく色々な種類のお酒を揃えるよう心掛けた。以下それぞれについて感想を、飲んだ時に書いたメモとともにお届けしたい。長くはなるが、最後まで読んでいただければ幸いである。
氷結 レモン
まずは定番中の定番、流行の発信源となった氷結シリーズからレモン味の登場だ。本当にICEBOXと氷結は合うのか、まずはそこからなのである。
- アルコールの臭みがない
- 溶けてくると爽やかなレモネード
- 飲みなれてくるとめちゃくちゃうまい
- マイルドヤンキーの味
- 外で飲みたい気持ちが分かる さわやか
- 1(ICEBOX) + 1(氷結レモン) = 2.3
なるほどな、という感じだった。巷で流行っている飲み方はこれだったのかと納得する味である。ICEBOXのグレープフルーツと氷結のレモンが上手く混ざり合い、飲みやすい飲料水として爆誕しているのだ。コンビニでこの2つを買って混ぜ合わせ、「これがうめーんだよ」と後輩に教えるマイルドヤンキーの顔が目に浮かぶようだ。先輩、マジスゴいっす。天才っすこれ。これ天才っす。
氷結 グレープフルーツ味
次は同じ氷結でもグレープフルーツ味だ。個人的にレモンよりもグレープフルーツの方が氷結のスタンダードという印象を受けるのだが、果たしてその相性は如何に。
- 氷結だ
- ICEBOXどこいった
- 俺のICEBOXを返せ
- ただの氷結
- ただし、溶けているだけあってアルコール感はうすめ
- 飲みやすい氷結
- 溶かした方がうまいことはうまい
ICEBOXがいなくなってしまった。世の中には「カロリーがカロリーとぶつかり合って、カロリーが外に出ていく」や「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」という先人のお言葉があるが、ICEBOXと氷結においても例外ではなかったのだ。一応補足すると、ICEBOXのグレープフルーツ味の方が氷結のそれよりも甘みが強いため、甘めの飲みやすい氷結になる。そのため氷結の苦みやアルコール感が少し苦手、という方にはオススメかもしれない。
氷結 梅
ここから氷結の定番でない味の登場である。まずは梅味から。
- うまい
- 梅とグレープフルーツが邪魔をしない
- 家で飲みたい味
- 梅酒
- 1+1が2.8とかになってる
- 思いのほかうまい
- 女性におすすめ
- うまい
これがうまいのだ。正直なところ梅とグレープフルーツという組み合わせには期待していなかったのだが、とにかくお互いを邪魔せず補佐し合う熟年夫婦のようなベストマッチなのだ。ただしこちらの組み合わせは氷結レモンと異なり家でのんびり飲みたい味であった。熟年夫婦はコンビニの前で缶チューハイなど飲まないのだ。同じ氷結との組み合わせでも様々ということである。さわやかさっぱりなので、メモにもあるが女性にもおすすめだ。
氷結 太陽のすもも
氷結シリーズ最後を飾るのはこの夏限定出荷の太陽のすもも味。正直目についたから買ってきてしまったのだが、夏の奇跡は起こせるか。
- 夏に夏が掛け合わされた味
- うまい
- というかそもそも太陽のすもも味がうまい
- 各々の良さが特に化学反応を起こすことなく出てる
- あえて混ぜることもないな
- 太陽のすももうまい
なんというか、太陽のすももがそもそもうまい。混ぜ合わせてもICEBOXと太陽のすももうまいなー、という感じなのだ。どちらかというと高得点の部類に位置するのだが、まあそんなに必死になってICEBOXに入れなくても良いのではなかろうか。氷結太陽のすもも、おすすめです。
ビール
さて、ここからはある程度おいしさを保証された氷結シリーズから外れ、本格的な実験に入る。まずはビールから。今回はキリン一番搾りにお越しいただいたが、鬼が出るか蛇が出るか。
- 誰だお前
- みんないなくなってしまった
- ビールのカクテルってなかったっけ?
- 苦味が重なるその時に*2
- 残ったお前は誰なんだ
- 苦味100%
- ビールうまい
- ICEBOXうまい
苦い。苦い。マズい。苦い。マズい。苦い。苦い。
とにかく苦い。ビールの苦味とICEBOXの苦味だけが執拗に手を組んで舌と喉を攻撃するのだ。あまりの苦さにメモを取りつつ混乱を極めてしまった。ビールのカクテルってありませんでしたっけ?ありましたよね?混ぜただけでこんなマズいことになります?そんな感じだ。
ちなみにメモ最下部の「ビールうまい」と「ICEBOXうまい」は混ぜることを諦め、それぞれで食べた時の感想である。お間違えの無いよう。
ZIMA
次はZIMAの登場である。こちらは個人的にマイルドヤンキーというかやんちゃな人がよく飲んでいるイメージがあったので、せっかくなのでリストアップした。公式ページを確認していただければどういう意味か分かってもらえると思う。さあ、混ぜよう、楽しみだ。
- 飲みやすい
- 甘さがいい具合に緩和されてる
- 夏にいい
- 外で飲みたい
- 都会の酒
- 渋谷とかきったねえ都会で飲まれてそう
- 米津玄師が飲んでそう
- なんかもう普通に正解
うまい。果実酒がベースとなっていることもあり、先ほどの氷結シリーズと同じくICEBOXと大変マッチしているのだ。メモにある通り、これは都会の酒である。氷結レモンは田舎のヤンキーが愛してそうなイメージがあったが、こちらは完全に都会。都会に慣れてる俺ら、っていう感じの味だった。きっとバイクふかせたりとかはしないんだろうと思う。周囲のオトナに反抗しているというよりは、オトナが無関心だから好き勝手やっちゃってるんだろうな。都会の無関心に寂しさを抱えてるかもしれないけど、俺は見守ってるぞ。
「米津玄師が飲んでそう」は偏見です。
白ワイン
次は白ワイン。ちなみに手軽さを重視するため、リストアップした酒はほぼ全てコンビニで調達している。そのためすぐに真似が出来ると思う。読者諸兄の快適なICEBOX酒ライフを願うばかりだ。
- 苦味がグレープフルーツとぶつかる
- 白ワインの鼻に残る感じが残り続ける
- 母「私はいける」
- 味はまあまあだが風味の問題
- ワインが好きかどうかで大きく分かれそう
- 母「やっぱ氷結が一番合う」
正直なところ、まあまあという感じだ。苦味がある酒においてはICEBOXの苦味とうまく馴染めるかどうかが大きなポイントとなりそうだ。また、メモにもあるが人によって意見が分かれそうな味だと感じた。自分があまり白ワインを得意としない方なので、意見が否定よりになってしまった感もあるかもしれない。あと母さん、勝手にやってきて勝手に結論づけないでくれるかな。
ウイスキー
白ワインは得意でないので今回は高評価を得られなかった。なれば自分の好きなウイスキーならばどうかという話である。
ストレート
水割り
- 濃い
- ウイスキーが濃い
- 風味が強すぎてアイスボックスを感じている場合じゃない
最初はICEBOXにウイスキーをそのまま注いでいたのだが、あまりのアルコール度数の高さにICEBOXを味わう余裕がなかったので、途中から水割りに切り替えた。ウイスキーとしては確かにグレープフルーツのさわやかさが加わったことで飲みやすくなったのだが、果たしてウイスキーを飲みたい層とICEBOXでさっぱりしたい層は同じなのだろうか。どっちつかずの味になってしまったのでウイスキー派の人間もICEBOX派の人間もどちらも幸せにならないような気がした。どう表現したらいいのか分からない。今も書きながらだんだん自信がなくなってきた。ただ多分、これはおおよそハズレのはずである。
大五郎
今回のダークホース、大五郎さんの出番である。流石にICEBOXと混ぜるためだけに4L買う度胸はなかったので、今回はそのワンカップ版であるミニ五郎さんにお越しいただいた。俺とお前と大五郎とICEBOX。おいしいといいな。
ストレート
水割り
- 濃い
- 激安居酒屋で「あっやばいな」って思う酒のアレ
- グレープフルーツサワー一歩手前
- 無名のチューハイ
- 飲めなくはない
- 「やっぱどことも知らんブランドのチューハイはだめだなー」って感じ
- 最後までチューハイ
今回もはじめはそのまま注いでいたのだが、カラオケ屋でうっかり頼んだやばい酒の味がしたので水割りに切り替えた。水割りの方は可もなく不可もなく、やや不可よりといった感じだ。また先ほどのウイスキーしかり、 水割りなどに薄める場合はどの程度の量薄めるべきかの判断が難しく、ベストな味に調整しづらいので初心者向きではないという印象を受けた。というかそもそもICEBOXに酒を入れて飲むのはその手軽さがウリでもあるので、そこを大きく落とすのはいただけない。
ストロングゼロ ダブルレモン
最後は皆大好きアルコールの革命児、ストロングゼロである。氷結レモンとの違いが気になるところであるが、どうか。
- 人工レモンみが強い
- 氷結よりも人工レモンみの甘さが強い
- 大五郎の延長線上
- 消えぬストロングの意思
- 氷を餌にした罠
やはり氷結よりもアルコール感が強く、ストロングの意思を感じさせる混ぜ合わせとなった。アルコール感という意味では大五郎と混ぜた時のそれと近いものがあり、飲んでいる時になんとなく向こう側に大五郎の顔が見えた。また、個人的にはストロングゼロの方が人工的なレモンの甘さが強く、混ぜ合わせた時に際立つ印象を受けた。
さて、これにて今回の調査は終了である。
飲みやすいもの、元の酒の主張が強いもの、うまいもの、まずいものと色々あったが、ひとまず今回の一番としては「氷結 梅」を推させていただきたい。単純な味という意味ではZIMAもかなりのハイスコアであったのだが、味の組合せの珍しさという点で*3氷結梅の勝利となった。
こちらICEBOXと氷結梅のamazonリンクである。是非試してほしい。
アフィリエイトだかなんだかといったものは付いていないので安心してほしい。というか、方法を知らない。教えてほしい。
また当然のことながら、世に出ている酒は今回のもので全てではない。今回は「氷結 梅」をおすすめするに至ったが、ぜひ皆さんも調査を進め、自分だけのICEBOX酒を見つけ出してほしい。そしてこれだというものがあったら教えてほしい。